鈴木勝吾のターニングポイント(2)

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3 ミュージカル薄桜鬼

 今もシリーズが続く乙女ゲーム2.5次元化。

 まだ2.5ブームが来る前に始まったけれど、マーベラスではテニミュの後、コンスタントにつづいている作品としてはかなり古参の域にある。

 鈴木勝吾は、第一作斎藤篇から、第九作ライブ2まで8作品に出演。

 舞台は二作品目。しかし若手キャストのなかでは、二番目のキャリアという扱いだったし、実際本当に若いキャストが多かった。井俣さんの近藤さんがまだ設定されていなかった斎藤編は、矢崎くんの土方副長が最大の要だったなあ…と昔話を。

 正直、最初勝吾くんは演技も歌もそんなにうまくはなかった。舞台経験のない若手が多かったので、そのなかではまあまあうまい方ではあったけれど、でもそこまでうまくなかった。

 

 正直、うまくなったなとおもったのは土方篇で、化けたなと思ったのは風間篇。そのあとは、みるたびにどこかしら予想をこえるものをみせてくれるのでとにかく…すげーな…となっている。結局舞台役者鈴木勝吾をつくったのはまちがいなく薄ミュ。

 鈴木勝吾は歌がうまいということになっている。まあ2.5に出る若手の中ではうまいほう。

彼はココア男。時代、「カラオケで、うまいと言われるタイプ」どまりだった。でもカラオケがうまいって理由で、テレビドラマの役もゲットできてるんで、十分うまいレベルではあったんだけど。

 

彼がちゃんとボイストレーナーに通い始めたのは、風間篇が決まってからなのだそうだ。そもそもクールで強い鬼をかっこよく演じるためには太刀筋もしゅっとしてなきゃいけないし、激しい殺陣をしても息をあげちゃいけないし、歌だってうまくなきゃいけない、と彼はおもってがんばったらしい。(とインタビューで言っていた)

 

風間篇神戸初日、正直ほんとにびっくりした。歌声は張りがあり、伸びやかで、演技も落ち着きをみせ、「…これは風間だ」と原作クラスタも言ってくれたぐらい、ほんとに変わっていた。

 

まえに池田純矢くんとの対談で、「えら呼吸してるんじゃないかと思うぐらい、息をみださないよね」なんていわれていたけど、それもこれも、風間はそんなことしない、っていう一念だったらしい。

 

鈴木勝吾を語る上で、ミュージカル薄桜鬼ははずすことはできない。もちろん絶対みろとはいえないけど、でも彼の演劇人生の中で、それはかなりの割合を占めていて、かつ彼の演劇の方向性をきめていると思う。

 

薄ミュライブ2、その風間メドレーは、さらりとやっているけれど、たぶんあれを当時の勝吾くんと同じレベルでやれる人はそうはいないと思う。すごいよほんとに。

その意味で、毛利さんは、勝吾くんにほんとにすごい花道を用意してくれたんだなと思っている。